当クリニックでできること

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胃内視鏡、超音波検査などによる駆使した消化器疾患の診断と治療

経鼻内視鏡検査について

 胃カメラと言えば、従来10mm前後の太さの内視鏡を口から挿入していましたが、その際に舌の根元や喉を刺激し、多くの方は嘔吐反射を起こします。このため、内視鏡検査は”つらい”、”苦しい”と感じている方が多いのではないでしょうか。検査時の苦痛を軽減させることを目的に、当院では鼻から挿入できる5mm程度の太さの細径内視鏡を導入しております。鼻から挿入することにより嘔吐反射は起こりにくくなります。また口からと異なり、検査中に会話ができます。

この検査をお勧めする方

  • 従来の経口内視鏡検査がかなり苦痛であった方。
  • 開口困難がある方。
  • 鎮静剤の使用が好ましくない方、鎮静剤を使用したくない方。

この検査をお勧めできない方

  • 従来の経口内視鏡検査が苦痛でなかった方(この検査のメリットはありません)。
  • 鼻の手術を受けたことがある、あるいは鼻の病気で治療中の場合。
  • 二次検査目的などで来院し、病気の存在が強く疑われる場合(今のところ、従来法がよいと考えています)。

知っておいていただきたい経鼻内視鏡の問題点

  • 検査中・検査後に鼻出血を起こすことがあります。
  • 両側とも鼻腔が狭い方は経口的挿入に変更することがあります。
  • 痛くないように鼻の中に局所麻酔(麻酔用のゼリーを入れたり,チューブの挿入をおこなったりします)する必要があります。
  • 経鼻内視鏡の場合、通常鎮静剤は使用いたしません。

ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎

 ヘリコバクター・ピロリという細菌(以下ピロリ菌と書きます)をご存じでしょうか?テレビや新聞などの報道で見聞きされたかたも多いかと思いますが、1983年に発見された胃粘膜に存在する細菌です。日本国内でのピロリ菌の感染者は人口の約半数とされていますが、感染率は50歳代以降の中高年者で高くなるという特徴があります。
 このピロリ菌の胃粘膜への感染により持続的な胃炎が発生します。これを「ピロリ菌感染胃炎」といいます。そしてこの病態は、胃・十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、胃MALTリンパ腫、胃過形成ポリープ、胃癌などのさまざまな病変を引き起こす母地となります。1980年代にはすでに、ピロリ菌を除菌することでこの胃炎が改善することが判明していました。そのためこれまで胃・十二指腸潰瘍など一部の疾患に対する治療目的の除菌が保険適応となり、積極的にピロリ菌の除菌という「治療」が行われてきました。
 ピロリ菌感染者全員が胃潰瘍や胃癌といった疾患になるわけではありませんが、そうなる危険性が高い集団であるということから、先日2013年2月より胃癌などを含めた前述の疾病予防のため、「ピロリ菌感染胃炎」に対する除菌にも保険の適応が拡大されました。つまり、胃・十二指腸潰瘍でなくても①ピロリ菌の感染が証明され、②胃炎の所見があれば、医療保険での除菌が可能となったのです。
 「ピロリ菌感染胃炎」に対して除菌を行うためには、まず胃内視鏡検査を受けて胃癌や潰瘍などの病変がないことを確認し、さらに慢性胃炎の所見があることを確認した上で、ピロリ菌の感染の有無を検査します。感染が判明すれば除菌治療の対象となります。
 治療は3種類のお薬を1週間内服していただきます(1次除菌)。そして内服終了後4週間以上経過した段階で除菌判定を行います。
 除菌の成功率は70~80%程度で必ずしも100%ではありません。残念ながら除菌に至らなかった場合はお薬の種類を変えて2次除菌がおこなわれますが、合わせると95%以上が除菌に成功します。
注意していただきたいことは、除菌に成功すると胃癌ができにくくなることは確かなことですが、胃癌になる可能性がなくなったわけでは無いということです。前述したようにピロリ菌感染した人は、感染してない人よりも胃癌を発症する危険性が高いため、除菌後も定期的な経過観察が必要です。除菌をしたらそれで終わりというわけではないのです。
 ピロリ菌感染の診断法、除菌の具体的な方法、除菌判定法については、様々な方法があるため医療機関によって若干の違いがありますが、日本ヘリコバクター学会によって定められた「診断と治療のガイドライン」に沿っておこなわれます。
 胃もたれや吐き気、痛み、食欲不振などの自覚症状のあるかたは、「ピロリ菌感染胃炎」かもしれません。ご興味のある方は是非専門の医療機関を受診されてみて下さい。

平成25年7月1日長崎新聞健康欄より

機能性ディスペプシア(FD)とは?

 食後のもたれ感、食後早期の膨満感、みぞおちの痛み、みぞおちの灼熱感などの上腹部症状があり、これらの原因となりそうな病気(例えば、食道炎、胃潰瘍、胃癌など)が内視鏡検査でみつからない例を「機能性ディスペプシア」といいます。この病気の概念は近年になって新しく確立されたもので、それまでは「神経性胃炎」や「慢性胃炎」といわれて薬物投与がなされていました。
 FDの原因として、①胃の運動機能障害 ②胃の知覚過敏 ③胃酸分泌 ④心理的・社会的要因 などがあげられます。
 問診、胃内視鏡検査、ピロリ菌の有無の検査などをおこない、FDであることが診断された後、主に薬物療法がおこなわれます。FDを診断するには胃内視鏡検査は必須となります。