鼠径(そけい)ヘルニアの手術
鼠径(そけい)ヘルニアとは
太ももの付け根付近に鼠径部と呼ばれる領域がありますが、そこが腫れてくる(膨らんでくる)病気です。
よく「脱腸(だっちょう)」と言われるものがこれです。つまり腫れ(膨らみ)の正体はおなかの中から皮膚の下に飛び出した「腸」なのです。また腸以外のおなかの中の臓器も飛び出すこともあります。
時々誤解される方がいらっしゃいますが、腰痛などの原因となる「椎間板ヘルニア」とは全く違います。
腫れが(膨らみが)生じると、違和感やツッパリ感、痛みなどの症状が現れます。この腫れは指でおさえたり、仰向けになると元に戻ったりしますが、放置していますと男性であれば陰嚢方向に大きくなっていきます。また最悪の場合飛び出した腸が元に戻らなくなった「陥頓(かんとん)」という状態になり、激しい痛みと腸閉塞症状が現われ、緊急手術の対象になることがあります。
■鼠径ヘルニアの種類


鼠径ヘルニアは、おなかの壁を形作っている筋肉や筋膜といわれる組織の衰えのため、鼡径部という領域に腸が飛び出す穴(専門用語でヘルニア門といいます)が生じるために起こるとお考えください。
鼠径ヘルニアの症状は鼠径部の腫れや違和感、つっぱりを感じますが、指で抑えたり、仰向けになると腫れが元に戻ったりします。放置しておくと、元に戻らなくなり(カントン)、緊急手術が必要になる事もあります。
鼠径(そけい)ヘルニアの治療法
できてしまった穴はお薬によってふさがることはないので、手術しか治療方法はありません。一般的な治療法としては、人工の膜(ポリプロピレンという繊維を網のようにしたものです)を用いて、この穴をふさぎ、衰えた筋肉・筋膜の補強を行います。
現在さまざまな人工の膜が発売され、またさまざまな手術法が存在していますが、当クリニックでは「ダイレクトクーゲル法」または「メッシュプラグ法」にて治療をおこないます。傷の大きさは約5cm程度です。
そして実際の手術は「医療法人厚生会 虹が丘病院」の手術室で行います。
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手術から退院まで(原則1泊2日の治療です)
当クリニックで診察させていただき、鼡径ヘルニアであることが確定し、患者様が手術をご承諾されますと、手術前に必要な検査(胸部・腹部レントゲン、心電図、血液検査)を行います。
手術は毎週水曜日の午後から(平成25年4月現在)おこないます。
手術当日は午前10時に虹が丘病院への入院をお願いいたします。手術直前の準備を行い、午後からの手術に備えます。
麻酔は脊椎麻酔です。手術時間は30分01時間程度です。患者様の体型、ヘルニアの大きさなどにより要する時間は変動します。
特に問題なければ、翌日の午後には退院となります。
退院後は
若干の疼痛や違和感などはありますが、日常生活に制限はありません。ただし、激しい運動や重いものを持ち上げたりする動作(おなかに強い力が入るような)は、術後約1か月は避けたほうが無難です。 退院翌日には当クリニックを受診していただきます。